MRIを完備した多治見市の整形外科・リハビリ

中高年女性の手指関節の不調

女性の約60%が閉経後の4年以内に
何らかの手指の関節の不調を自覚します。

メノポハンドとは

指が痛い、指の関節が腫れる、指がこわばる、指先の関節が変形してきた・・・このような指の症状で受診する方の約90%が女性です。しかも、閉経による女性ホルモン、特にエストロゲンの減少時期と発症時期が合致しています。メノポハンドとはメノポーズ(閉経)とハンド(手)を組みわせた用語で、最近よく使用されるようになっています。50歳前後の典型的な更年期にこれらの症状が頻繁に起こり始め、女性の約60%が閉経後の4年以内に何らかの手指の関節の不調を自覚するとされます。これらのうち第1関節に現れるものをヘバーデン結節、第2関節の現れるものをブシャール結節、母指のつけ根に現れるものをCM関節症と言います。そして、これら手指の症状で受診される方の中には、「自分はリウマチではないだろうか?」と心配されて来られる方も少なくありません。よって、まずはメノポハンドとリウマチを区別することが重要なポイントとなります。

メノポハンドvs関節リウマチ

リウマチ(正確には関節リウマチと言います)は免疫の異常により自分自身の関節が攻撃されてしまう頻度の高い病気です。指の第2関節に痛みや腫れが起こることが多いため、初期にはメノポハンドとの区別が問題になります。また、「朝に指のこわばりがありリウマチが心配です。」と訴えて受診する方の中には、初期の腱鞘炎などの方も多く存在します。いずれの疾患であっても症状が現れた時に、自分の病気が何なのかをしっかりと見定め、適切な治療法を選ぶことが肝心です。もしリウマチが疑われたら、もしくは少しでも心配ならば、レントゲン検査や血液検査などを行えば、多くの場合リウマチかどうか分かります。自分がリウマチでないと分かるだけでかなりの安心感が得られるので、検査を積極的に行うことをお勧めします。

へバーデン結節
(第1関節)とは

へバーデンとはこの病気を初めて報告したイギリスの内科医の名前で、結節とは皮膚の瘤(こぶ)のことです。最初は一本の指から始まり、そのうち他の指に次々と同じような痛みと変形が起こる進行性の病気で、どの指から始まり何本の指が変形するのかは個人差があります。メノポハンドの代表格ではありますが、正確かつ詳細な原因はまだ不明なため残念ながらこうすれば治るという治療法はまだ確立されていません。炎症期は日常生活でも痛みがあり、関節の膨らみ・隆起が目立ち始めると関節の変形が進み、指が横を向いたり曲がったりします。外観上の醜状のみならず、頑固な痛みが改善せず、日常生活動作で手指の使用が制限される場合は、早めに何らかの治療を始めた方が良いでしょう。

ブシャール結節
(第2関節)とは

ブシャール結節とはこの病気を初めて報告したフランスの医師から名づけられた第2関節に起こるメノポハンドです。中指と薬指に多く、対称性に発症する傾向があります。発生率はヘバーデン結節の約1/6ですが、炎症を繰り返し難治化する場合が少なくなく、第2関節の動きが悪くなると実際に困ることが多くなってきます。治療法はヘバーデン結節と概ね同じですが、関節リウマチとの区別を要することと、より早期からの対応が必要になります。

メノポハンドと女性ホルモン

女性にとって大切な役割を果たす最も重要な女性ホルモンは「エストロゲン」です。その分泌量は40代以降、閉経へ向かうにつれて減少していきます。よって、メノポハンドの発症年齢も50代を過ぎた頃から増え始め、60代でピークを迎えます。エストロゲンの低下によりメノポハンドが進行する理由は、エストロゲンの受容体(受け皿)が関節軟骨や滑膜など関節内外の多くの組織に存在するためです。エストロゲンにはもともと抗炎症作用、軽度免疫抑制作用、および腱の保護作用などがあります。

メノポハンドの治療

治療の基本は罹患した手指の関節の安静をはかることです。特に痛みがある急性期(炎症期・平均約3か月間)に関節を安静固定しておくと、それだけ炎症が早く治まるので、痛みもなくなり、変形も最小限にくい止めることが期待できます。しかし、日常生活で指を使わないわけにはいかず、安静と言ってもなかなか容易ではありません。では治療はどうすれば良いのか、メノポハンドの中で最も多いヘバーデン結節を中心にいくつかの選択肢を挙げてみます。治療の基本は罹患した手指の関節の安静をはかることです。特に痛みがある急性期(炎症期・平均約3か月間)に関節を安静固定しておくと、それだけ炎症が早く治まるので、痛みもなくなり、変形も最小限にくい止めることが期待できます。しかし、日常生活で指を使わないわけにはいかず、安静と言ってもなかなか容易ではありません。では治療はどうすれば良いのか、メノポハンドの中で最も多いヘバーデン結節を中心にいくつかの選択肢を挙げてみます。

  • テーピング固定

    へバーデン結節の局所安静法として、ぜひ試して頂きたいのが患部のテーピングです。へバーデン結節では軟骨がすり減り関節が不安定になっているため、テーピングによっても関節の動きをある程度制限できます。初期に当たる炎症期のうちに、炎症をできるだけ早く鎮めて変形を最小限にくい止めることが目的です。テーピングは何より簡単・便利で複数の指にも適応できるのが利点です。

  • 装具固定

    テーピングよりも指の制動性が高くなるため、関節の炎症や痛みの軽減効果がより多く期待できます。また装具の種類によっては保険適応となります。一度装具固定で有効性を感じた方の約60%が継続使用できているとのデータもあり、一定の満足度が得られます。

  • 投薬

    ロキソニン等に代表される消炎鎮痛剤の外用剤は除痛に効果的で、その効果は飲み薬と同等であるとされています。

  • 生活指導とエクササイズ

    関節面にかかる有害な負荷を避けて関節の保護を目的とする生活指導や、逆に関節の動きを維持するためのエクササイズにも一定の効果があります。また、日常生活動作で必要なら補助道具の使用も有効です。例えば、タオルを絞る際は手掌をなるべく使い、ビンや缶の蓋を開ける際には滑り止めシートなどを利用します。

  • サプリメント

    女性ホルモンの減少が原因なら、女性ホルモンを補充すれば良いと思われがちですが、薬剤によって体内の女性ホルモンを増やすと乳ガン・子宮ガンや血栓症のリスクを高めてしまいます。そこで女性ホルモン、特にエストロゲンの代わりとして期待されているのが、大豆イソフラボンです。体の中に入ると、エストロゲンに似た働きをしてくれるからです。しかし、1日に摂取できる大豆の量には限界があるので、効率よくサプリメントを摂取して頂きます。当院では乳酸菌から抽出された信頼性の高いサプリメントの提供を行っています。

母指CM関節症
(親指の手首側の付け根)

メノポハンドの仲間ではありますが、親指のつけ根に起こるので、その特徴や治療法がヘバーデンやブシャール結節と若干異なるところがあります。CM関節とはcarpometacarpal(日本語で手根中手)関節の略で、長ったらしく分かりにくいので母指CM関節症と言います。多くの場合、親指の付け根の骨がずれて出っ張ってきます。慢性的な痛みですが症状には波があり、薬を飲んだり、塗ったり、貼ったりで通常は対処可能です。疼痛が強い場合は関節内に注射を行うこともあります。日常生活で親指を使わず安静にすることは難しいので、CM関節症専用に各種の装具やサポーターが考案されており、保険適応でもあります。しっかりした装具を夜間のみ装着して、日中の活動時には既製の簡便なサポーターを使用したりもします。軟骨の擦り減りが進行すると装具療法の効果が限定的となるため、なるべく早期に治療を開始する必要があります。

大豆イソフラボンの
サプリメント

エクオールについて

エクオールは、大豆イソフラボンの一種であるダイゼインが腸内細菌によって代謝されて生成される成分です。女性ホルモンのエストロゲンに似た構造を持っているので、エストロゲンと同様な働きが期待されています。近年の研究によると、中高年女性の手指の不調の治療選択肢となるだけでなく、ホットフラッシュなどの更年期症状の緩和、骨量減少の予防、悪玉コレステロール上昇の抑制、肌のハリやシワの改善、肩こりの軽減など、多岐にわたる健康効果が報告されています。

しかし、エクオールを体内で産生できる日本人女性は約50%と言われています。エクオールの産生できない方、産生できても大豆食品を継続して食べることが難しい方にはサプリメントでの補給が可能です(エクオールは1日10mgの摂取が推奨されており、これは納豆1パック程度に相当します)。エクオールは医薬品と比較して副作用が少なく安全性も高いので、保険適応外ではありますが、一度はその効果を試してみても良いでしょう。また、自分がエクオールを産生できるのか知りたい方は、これも保険適応外ですが当院では委託尿検査も可能です。

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